オッス!オラ吐瀉夫!
なんと2023/11/30、ディズニー100周年記念の新作映画『ウィッシュ』の試写会に当選したので見てきました。
なお、日本での全国公開は2023年12月15日。
映画の感想ブログはもう書くつもりなかったのですが、あまりにも衝撃的だったのでこの気持ちの高まりが静まる前の当日中に感想を綴ろうと思います。
過去最低のディズニーアニメ映画『ウィッシュ』
先週米国で公開されたディズニーの最新アニメ映画『ウィッシュ』は、オープニング週末の興行成績が芳しくなく、批評家たちからも厳しい評価を受けました。ディズニーは最近、興行的に成功しない映画が相次いでおり、映画館に観客を呼び戻すことが難しい状況が続いています。
米国で11月22日に公開された『ウィッシュ』は、北米でのオープニング週末の興行収入が予想を大幅に下回り、3位スタートとなりました。週末3日間の興行収入は1950万ドル(約29億円)、感謝祭の祝日を含む週末5日間の興行収入は3170万ドル(約47億円)にとどまりました。
米メディアデッドラインによれば、同作の低調な成績の原因は、予告編から物語が明確に伝わらず、映画本編がディズニー映画でおなじみの「滑稽な相棒たち(しゃべるヤギとふっくらした星)」が登場する「即席のプリンセス映画」に終始してしまったことにあると指摘されました。
上記の通り、結構ボロボロ。
個人的にも余り期待してない作品でしたね…(笑)
ディズニー100年の歴史の集大成『ウィッシュ』
ディズニーの長編アニメーションで、ウォルト・ディズニー・カンパニーの創立100周年を記念して制作された作品。
物語は新たなディズニー・ヒロイン、アーシャが主人公であり、彼女が魔法の王国の真実を知ってしまい、それによって引き起こされる奇跡を描いたファンタジーミュージカル。
監督は「アナと雪の女王」シリーズで知られるクリス・バックと、「アナと雪の女王」や「ズートピア」などでストーリーアーティストをつとめたファウン・ビーラスンソーン。
脚本は、クリス・バックとともに「アナと雪の女王」に携わったディズニー・アニメーション・スタジオのクリエイティブ・オフィサーであるジェニファー・リーが手がけている。
音楽は、ソングライター兼アーティストとしてジャスティン・ビーバーやエド・シーランに楽曲を提供した経歴を持つジュリア・マイケルズが担当。
アカデミー助演女優賞を受賞したアリアナ・デボーズがアーシャ役の声を演じ、日本語吹き替え版では映画やドラマ、ミュージカル舞台で幅広く活躍する生田絵梨花がアーシャ役を務める。
といったように布陣は豪華。
日本版声優も生田絵梨花 (アーシャ), 福山雅治 (マグニフィコ王), 山寺宏一 (バレンティノ)と注目のメンツ。
衝撃を受けた理由
まず、大前提として僕はディズニーの映画が好きではない。
ほとんどのディズニー映画を最後まで見れたことがない。だいたい途中で寝てしまう。
そもそも興味を持てない物が多かった。だからTDLに魅力にも感じないし、そもそもミュージカル映画さえも苦手だ。
さらにはハードコア・パンクに青春を捧げた影響もあり、基本的に音楽は男の歌が好きで、女性の歌が嫌いでもある。
それが今回100周年なのもあり、なんとなく興味を持って、奥さんも喜ぶかな?と思って試写会に応募して当選したため、行ってみたのだ。
まず、音楽が素晴らしかった。
美しく、力強く、躍動感のある楽曲が多く、映画の中盤頃で夢中になった。
奥さんに「俺…ウィッシュのサントラ買うわ…」とこぼしたところ
「私も買って欲しいと思ってた」と、普段音楽に興味のない奥さんがCDを欲しいと言い、帰宅前から「家帰ったらYoutubeでウィッシュの曲何回もかけて」と要求してくるほどだった。
ソングライター兼アーティストとしてジャスティン・ビーバーやエド・シーランに楽曲を提供した経歴を持つジュリア・マイケルズが音楽担当しているだけあるってことか…!
そして、肝心のストーリーというかこの作品が持つメッセージを、物語の後半に差し掛かるタイミングで感じ取った。
そこで完全に引き込まれましたね…。
ここで軽くあらすじを説明
舞台はこれまでのディズニー作品よりも以前のファンタジーの世界、どんな“願い”も叶うと言われる“ロサス王国”が舞台。
願いがかなう魔法の王国に住む少女アーシャの願いは、祖父が100歳になること。
しかし、アーシャは驚くべき真実に直面する。
すべての“願い”は魔法を操る王様によって支配されていた。
彼女はみんなの願いを取り戻したいという強い思いに応えるため、“願い星”のスターが現れる。
空から舞い降りたスターと、相棒である子ヤギのバレンティノとともに、アーシャは立ち上がる。
「願いが、私を強くする」──願い星に選ばれた少女アーシャが、王国に巻き起こす奇跡とは…?
ちょっと自分の話をするが、最近仕事でアプリ用マンガの企画に関わる業務にトライしていたんです。
マンガが大好きだったからこそ挑戦したのだけど、これが本当に辛くて。
それが何故かと言うと、通常のマンガは読者がお金を払って雑誌を買って、そこで人気の出た作品から単行本が出て、ファンが付いて売れて連載も続くという仕組み。
これがアプリ用縦読みマンガは基本1日1話無料だ。最新数話だけは有料だが、読者の入り口となる1話から大部分が1日1話限定だが無料で読める。
この仕組みで大事なことは、大部分の無料読者を如何にたくさん掴み取れるか。
まず大量の無料読者を掴む。そこから先を読みたい人が課金する仕組みなのだから、アプリ側の仕組みに従うしかない作品側で出来るのは「いかにたくさんの読者を集めるか」でしかない。
これが個人的に自分が感じる耐え難い問題の原因だと思っている。
無料でマンガを読みに来る読者の大部分は、マンガに「気持ち良さ」を求めている。
従来のマンガはコアな読者もたくさんいて、深い作品を求めていたり、内容も細分化が進んでいる。
しかし無料のアプリ縦読みマンガは、漫画家が作っている作品ではなく、企業主導のスタジオ制作作品で作家性もどうしても薄れてしまう。
作品の企画も会社が握っているものもあり、会社として売れる作品が前提として作るため、読者の求める内容、読者の求める「気持ち良さ」を提供する作品が乱造されるように思う。
だからランキング上位は転生モノばかりで、主人公がふとしたキッカケで才能や能力に目覚めて無双する作品が占拠する。
無料読者の大部分は1日1話ずつしか見れないため、自身の快楽を満たすような似た作品を求め続けて漫画アプリに可処分時間を費やすわけだ。
スマートフォンゲームの開発・運営の仕事をしていても、この構造と似たところがたくさんあるので、そういった現状と理想のギャップに悩みながら働いています。
こういった「気持ち良さ」の提供で無料ユーザーを掴み、そこからお金を稼ぐことが良い悪いかは人それぞれだが、自分にとってマンガは都合の良い妄想を再現したものではなく、物語・キャラクターを通して道徳や正義を学ぶものとも思っているので、努力をおざなりにして成功を掴むご都合主義は受け入れ難かった。
そこで、映画『ウィッシュ』の感想に戻る。
この『ウィッシュ』はあらすじの通り、”願い”を取り戻す物語だ。
人々が他者に踏みにじられないように王様に預けた”願い”。
”願い”を預けている間、本人は”願い”を忘れてしまう。
それは叶えたい夢を忘れてしまうということ。分不相応な夢を持つ人もいる。
だからこそ、それを忘れることで自己実現の欲求に苛まれること無く穏やかに生きることが出来る。
しかし、”願い”を取り戻したある人物がこんなセリフを言った時、自分はこの映画が大好きになった。
「叶えられるかどうかは分からないけど、やるだけやってみるよ」
そうだ。人とは、何かを成し遂げるために努力するからこそ素晴らしい。
そんなこの映画を見終わったとき、恥ずかしながら涙目になっていた。
努力をおざなりにして成功を掴むご都合主義ではなく、夢に向かって努力し生きる過程こそが大事なんだというメッセージが込められた映画を、ヒットメーカーであるディズニーが作っていることが嬉しくなった。
(もちろんこの映画の主人公アーシャが周りに助けられて成功するご都合主義もあるにはあるのだが)
そう思えた時、「実は自分はこれまでのDisney映画もそういったメッセージを見落としてきたんじゃないか?」という考えが浮かんだ。
過去最低のオープニング興行収入の『ウィッシュ』は僕に、Disneyの過去映画を見るキッカケを与えてくれた衝撃的な傑作だった。
もちろん好き嫌いもあるだろうし、これまでDisney映画を見てきた人にとってはつまらないと映るかも知れない。
それでも『ウィッシュ』は僕に感動を与えてくれたし、夢を追いかけて頑張ろうと思わせてくれた傑作なのは間違いない。
12/15の公開日に発売されるサントラを買うのが待ち遠しい。
気になる人は是非見て欲しい。
それじゃあまた。